グーグルからのアクセスはヤフーの三分の一程度でしたし、再審査のリクエストでペナルティが解除されるケースも多いようですから、それまでは辛抱するしかない。これがヤフーじゃなくて良かった、これがヤフーだったら終わりだ。よし、初心に返ってSEOを考え直そう。リピートユーザだっているし、悲観することは無い。そう思っていた矢先の事です。
先週の月曜日、今度はそのヤフーで、主要なキーワードの検索順位が軒並み百位前後に下がったのです。グーグルのペナルティと違って検索結果には出てきます。しかし、この順位では存在していないとの変わりません。集客をトップページのSEOに頼っていた自分たちにとっては、新規のアクセスが限りなくゼロになることを意味します。
これは神様から自分へのペナルティでしょうか?
翌日、「SEOエクスプレス」に貼ってもらったリンクはすべて外してもらいました。今、サイトに怪しいことは何もしていません。
この一周間、ほとんど睡眠を取れていません。昨日は部長から叱責される夢で夜中の三時に目が覚めて眠れなくなりました。
「お前の甘い考えのせいですべてが台無しだ。お前に任せたのが失敗だった。」
その部長と二人のメンバーにはまだ何も話していません。何と言えば良いのでしょうか?一日あたりの売上げは二ヶ月前の半分程度になりました。
地獄。
もはや自分の手には負えなくなりました。どうか、助けてください。
「◎至急 お願いします」というタイトルのメールを開くと、Wordのファイルが添付されていた。至極滑稽な文章であった。この手記に出てくるホームページ制作会社の担当というのが私の高校時代からの親友で、私の事を彼に紹介したのである。
私は当時、三宮にある小さな会社で、ネットマーケティング全般を扱うポータルサイトの運営や、SEMのコンサルティングを行っていたのである。翌日、私はメールで彼に返信した。凡そ、以下のような内容である。
「大西様の状況は把握しました。グーグルのペナルティについてはお気の毒でしたが、私が知っている限りではほとんどの場合復帰しますので、しばらくは我慢しましょう。ヤフーで検索順位が下がった現象につきましては、恐らくペナルティではありません。丁度その時期にアルゴリズムの変更がありまして、多くのサイトで検索順位の乱高下が確認されています。サイトに何らかの問題がある可能性も否定できませんが、一緒に解決策を考えましょう。ご予算を割けるようでしたら、リスティング広告も効果的に使っていきましょう。最低限の費用でまずはサイトの検証と今後のアドバイスをさせていただきますので、ご安心ください。今は大変でしょうが、リピートユーザも着実に増えているのですから、それほど悲観的にならずに。部長、それからメンバーのお二人にもしっかりと現状を伝え、今後の方針が決まりましたら改めてご連絡ください。」
しかし、三日経っても彼からの連絡は無かった。
私から電話を入れると、ネット販売事業部のメンバーだと言う女性に取り次がれた。本日彼は休みということである。私が事情を説明すると、彼女は詳しく話してくれた。
「実は大西は退職することになりました。私たちも昨日聞いたばかりで、驚いているところなんです。大西はこの一ヶ月ですっかり様子が変わってしました。健康的だった顔は頬もこけて、あまり寝ていなかったんでしょうね、目の下の隈も酷くなっていました。」
「そうですか。しかし可哀相に、......」
「ええ、一週間程前には、何か訳の分からない事を呟きながら一心不乱に長い文章を書いていました。何をしてるんですか?と尋ねると驚いた様子で、虚ろな目で私の顔を見て、そうしてそのファイルを閉じてしまいました。部長に退職の話をした時には、『僕はSEOが無い所に行くことにしました』など要領を得ない話をしていたようです。部長は他部門への異動も含めて慰留しましたが、駄目だったそうです。」
「しかし、『SEOエクスプレス』のようなサービスに出会わなければそんな、......」
「どちらも悪いんですよ。その『SEOエクスプレス』も大西も。」
SEOのサービスを庇う様に、そう言った。
「私たちの知っているSEOは、地道にサイトを充実させて、良いサイトからリンクしてもらって、あれですぐに効果が出れば、いいえ、すぐには出なくても、......神様みたいないい集客の方法でした。」
SEO失格はフィクションです。
コメント(2)
コメント

大西どこいっちまったんだー
SEO病怖し
SEO失格楽しませていただきました^^
こんにちは!
大西のその後については、続編で・・・。(嘘です)
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
休みをほとんど潰しましたが、そう言っていただけると書いた甲斐もありました^^